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名古屋のIT系学生コミュニティOthloTechのブログです。

心理学を楽しむための心理学入門

こんにちはv(^o^)v OthloTechのごまきです!

Othloブログがはてなブログに移行されましたねっ。
個人的にははてなブログの方が更新しやすくなったので嬉しいです。
でも、マークダウン方式での記事の執筆やgitでのpushは大変勉強になりました。
はてなブログに移行しても、みなさん宜しくお願いします!

さて、今回私がお話しする内容はズバリッ、心理学についてです。

私は現在、大学で社会心理学を専攻しています。

それを知ってか知らずか、OthloTechのイベントの参加者の方や知人によく、「心理学って面白そうだよね」ってよく言われます。

例えばみなさん、この本ご存知でしょうか?

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

「嫌われる勇気」です。この前ドラマにもなったみたいですね!

この本は「アドラー心理学」という一つの心理学の分野について、対話式でわかりやすく解説しています。
現代の社会で多く悩まれているであろう人間関係との向き合い方がテーマになっているためか、多くの人の手に取られました。



しかァし!!!

「心理学」はアドラー心理学だけじゃないんです!!!

脳科学、デザイン、医療、マーケティング、政治…さまざまな分野と結びつき、どんな姿にも変身するカメレオンのような学問…それが心理学です。

心理学の扉を叩くだけで、世の中の見え方がぐるりと変わる(ハズ)です。

そんなこんなで今回は、

・心理学ってなんか楽しそう

・UI/UXデザインに役立てられそう

・心理学を極めれば恋人ができそう

・でも、何をすればわからない…

そんな方のために、私なりの「心理学の楽しみ方☆超入門」を記事にしていきたいと思います。
なんと私のヘタクソなイラストつきです!まさかの手描き!!!
興味のあるジャンル別にオススメの本も紹介しますので、ぜひ暇なときにでもチェックしてみてください!

心理学は「こころの科学」

まず心理学について。

大学で使用される教科書などはよく、心理学を「こころの科学」と呼んでいます。

もちろん、「こころ」とは心臓のことでないですよ!

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こころ

必ずそこにあるのに目には見えない、それが「こころ」です。

私たちが急にレッドブルが飲みたくなって深夜にコンビニに走るのも、ゲームなんてそんなにやったことないのに任天堂のswitchが欲しくて欲しくてたまらなくなるのも、意味もないのに美味しそうなご飯や恋人との2ショットをインスタに投稿したくなってしまうのも、「こころ」が私たちに働きかけているからです。

その「こころ」の働きを科学的に(厳密にいうと実験で)解き明かす、というのが心理学です。

そのため海外の大学では心理学は一般的に理系分野の学問らしいですよ。
日本だと文系というイメージが強いですよね。



ヤバい心理学?

話はガラリと変わりますが、皆さん「吊り橋効果」ってご存知ですか?

グラグラ揺れる吊り橋の上にいると男女は恋に落ちやすいっていうアレです。

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吊り橋効果?

世間一般には恋愛心理学を用いたテクニックとして紹介されていたりします。

「気になる異性がいるアナタ!吊り橋とは言わずとも、ジェットコースターなどちょっとスリリングなデートに誘ってみると良いですよ!」

なーんてアドバイスを目にしたり、はたまた友達にアドバイスしちゃったりしたことはないでしょうか?



この「吊り橋効果」は1974年にダットンとアロンによって発表された論文が元になっています。

実験の方法をお話ししますね。

揺れる吊り橋の真ん中に女性が立っていて、吊り橋を渡ってきた男性(18〜35歳)に「創造性に関する実験に協力してくれませんか?」とインタビューをします。

その実験の内容は、図を見せ、その図を使って物語を作ってもらうというものです。

その後、女性は「実験についてのもっと詳しい説明が知りたかったら、連絡してね」と実験に協力してくれた男性に氏名と電話番号の書かれた紙を渡します。

同様の流れの実験を固定橋(揺れない橋)でも行います。

後日、実際に電話をかけてきた男性は吊り橋条件で18人中9人、固定橋条件で16人中2人という結果になりました。


この研究方法を聞いた上で、もう一度問います。

あなたが気になる異性がいるとして、その人とお近づきになるために吊り橋デートに誘いますか?

確かに吊り橋条件では18人中9人と、固定橋条件の結果より電話をかけてくる男性の割合が高いです。

しかし、これを「恋に落ちる」と解釈してしまっても良いでのしょうか?




このように、有名な論文の研究成果が他の論文や書籍に短い要約文で引用されまくり、ちょっと大げさな解釈で知られてしまっている…ということは数え切れません。


心理学的なアプローチでハウツーを述べている一般書籍は多く存在しますが、私が主張したいことは疑いを持てということです。



心理学に興味がある人は、ネットで検索してみたり本屋さんの心理学コーナーに立ち寄ってみたりすると思うのですが、残念ながら「大げさな解釈」しか掲載されていないような記事や本は多く存在します。


もちろん、心理学に興味を持たせるという目的ではそれでいいのかもしれませんが、あまりにこの「大げさな解釈」を信用しすぎると後々に困る可能性は高いです。


ある研究の「結果」だけが淡々と述べられている心理学の本を読むより、その「過程」がわかりやすく解説されている本を読むことを強くお勧めします。

ただ、「過程」がわかりやすく解説されている本となると、どうしても分厚くなってしまったり、専門用語がたくさん出てきて読みにくかったりして、どうにもとっつきにくくなってしまうという問題点があります。


実際に私も、研究室で使用する心理学の専門書や論文に初めて目を通した時、さっぱりピーナッツって感じで1人で「は?」ってキレながら読み進めていました。

そこで皆さんに、心理学研究の「過程」、つまり研究の流れについて、できるだけわかりやすく解説をしたいと思います。



心理学の研究が普段どのような手順で行われているのかを大まかに掴めば、専門的な本や論文も読みやすくなるほか、「じゃあ、こうするのはどうだろう?」という新しいアイデアなどがたくさん浮かんでくるようになって、心理学がもっと面白くなるはずです!



流れを知る 〜心理学の研究って何してるの?〜


では、心理学の研究の流れについて、例を用いて紹介していきたいと思います。

先ほど「ゲームなんてそんなにやったことないのに任天堂のswitchが欲しくて欲しくてたまらなくなる」のはこころが関係しているとお話ししましたよね。

(もちろん、switchは素晴らしいゲーム機ですよ!!!私も持っています!!!!モデラー使いです。)



ご存知の通り現在switchは大変品薄で、東京では毎週のように抽選会が開かれています。

世間では品薄商法だなんて言われたりもしています。(実際は本体に使用される半導体の不足らしいですが…。)



ここであなたは疑問に思うでしょう。

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ぎもん

「もしもswitchの在庫が充実していて、手に入れようと思えば店頭や通販などで定価で簡単に手に入るとしたら、switchを欲しいと思う人の数に変化はあるのか?」

(重ね重ね申し上げますが、switchが品薄でなければ購入するに及ばない商品だと主張しているわけではありませんよ。)



トム・ソーヤの著者マーク・トウェインがかつてこのような発言をしました。

「人間に何かを欲しがらせるには、それが簡単に手にははいらないようにすればいい」

もしもこの一節が本当なら、「品薄だ!」という情報が私たちの「こころ」を揺るがしているかもしれません。

この仮説を調べる方法はあるのでしょうか?



例えば、今ある地球をコピペで2つに増やして、片方の地球ではswitchは品薄、もう片方の地球はswitchが十分手に入るようにします。

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地球をコピペ…!?

そして、それぞれの地球に住んでいる人にswitchについて説明して、「switchを魅力に感じますか?」「switchが欲しいですか?」「何円なら買いますか?」とアンケートをとるのです。


そのアンケートに結果に、統計的に有意な差があれば、この仮説は正しいということになります。



しかし、当然ながら、地球を2つに増やすなんてことはできませんよね。

そこで心理学の研究では、いわゆる「対照実験」を行います。



「品薄」は私たちのこころに影響を与える?実験してみよう


ここで仮説をもう一度確認しておきましょう。

仮説:品薄という情報は、ある商品の購買意欲をより高くする。



では早速、この仮説を検証したい時に一般的に行われる(超シンプルな)実験についてお話ししていきます。

今回は、この実験に協力してくれる実験参加者が100人いることにします。

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まず、この100人をランダムに50人ずつの2つのグループにわけます。

そしてそれぞれのグループに、架空のチョコレートの商品紹介が書かれた紙を配り、読んでもらいます。

ここで実験参加者の行動を揺るがす(であろう)ある仕掛けを与えます。グループごとに、紹介の仕方を変えるのです。

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AグループとBグループの違い
※この画像だけ諸事情により罫線が入ってアナログ感丸出しになってしまいました。すみません。



Aグループ…「◯◯社が皆様にお送りするこのチョコレートは、最高級のカカオ豆を使用し、フランスの職人が一つ一つ丁寧に作り上げた最高級のチョコレートです。そのとろけるような甘さとあと引くほろ苦さに、あなたもきっと虜になるでしょう。店頭または通販でお買い求めになれます。



Bグループ…「◯◯社が皆様にお送りするこのチョコレートは、最高級のカカオ豆を使用し、フランスの職人が一つ一つ丁寧に作り上げた最高級のチョコレートです。そのとろけるような甘さとあと引くほろ苦さに、あなたもきっと虜になるでしょう。カカオ豆の入荷状況によるため、販売数には制限があります。販売する際は、当社ウェブサイトでお知らせいたします。




AグループとBグループの違いは、チョコレートが普通に手に入るか、品薄でいつ手に入るか分からないか、です。

そしてそれぞれの商品紹介を読んでもらったあとに、

・先ほどのチョコレートをどれほど魅力に感じたか?(1.全く魅力に感じなかった-7.非常に魅力に感じた の7段階で答えてもらう)

・先ほどのチョコレートを購入したいか?(魅力度と同様、7段階で答えてもらう)

・何円なら購入したいか?(金額を記入してもらう)

このような項目のアンケートに答えてもらいます。

ちなみに、紙のアンケートに答えてもらう調査方法を質問紙調査と呼びます。 また、「1.全く魅力に感じなかった-7.非常に魅力に感じた」の7段階の答え方がある場合、7件法と呼びます。

(就職試験の性格診断などで「1.全くそう思わない-3.普通・分からない-5.非常にそう思う」などの質問に答えたことはありませんか?これは5件法の質問です。)




そして、結果を集積して、統計的な処理を行います。

例えば、チョコレートの魅力度がこのような結果になって…

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チョコレートの魅力度の違い

この差が、統計的に有意な差であると分かれば、品薄の情報はチョコレートの魅力度に影響を与えたかもしれない、ということが言えるわけです。

チョコレートの購入したいか?やチョコレートの値段も同様に確かめて、いろいろ考察をします。

以上が、品薄という情報は、ある商品の購買意欲をより高くするという仮説を検証するための実験の流れです。

ご紹介したのはものすごくシンプルな例&私が5分くらいで考えたものなので、いろいろ突っ込みどころがあるかもしれませんが、とりあえずこの流れを理解しておいてください!


それでは、この研究の流れが理解できればもっと面白くなる、心理学の分野のご紹介をします!

オススメ分野のご紹介

学習心理学

「学習」と聞くと幼稚園や小学校の教育に使う心理学なのか…?と思われる方もいるかもしれません。

しかし一般的には、「ヒトや動物が経験を踏まえて行動を変化させていく過程」を研究する心理学です。

みなさん、パブロフの犬って聞いたことありますか?

犬にベルを鳴らしたあとにエサを与えることを繰り返していると、ベルを鳴らしただけで犬がよだれを垂らすようになる、というものです。

専門用語では古典的条件付けと言います。

この学習心理学の分野の応用には、人間はなぜギャンブルにはまってしまうのか、なぜスマホをちらちらと見てしまうのか…など日常の疑問を解決するヒントが隠れています。

ちょっと面白そう!と思った方がGoogle Scholarで「学習心理学」と検索してみることをオススメします。

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行動経済学

「いらないのに、無料!って聞くとついついもらってしまう…」「ダイエットしようと決意したけど、明日からにしよう…」

日常の些細な情報に影響されて変化する私たちの消費行動…なぜ?と疑問に思ったことはありませんか?

もしかしたら、自分の意思で行動していると思い込んでいるだけで、何かに影響を受けているとは気がついてないかもしれません。

興味あるかも!って方は、是非この本を読んでみてください。

「予想通りに不合理」です。

伝統的な経済学では説明ができない、現代の人間の消費行動の不思議について丁寧に説明してくれます。

私が先ほどお話しした「品薄の情報は購買意欲に影響を与えるか?」という疑問は、行動経済学の分野が一番近いです。

この本の面白いところは、なんて言っても実験のデザインの斬新さ!!

先ほどはアンケートによる実験についてご紹介しましたが、この本での実験はより現実的というか、バーなどのお店に協力してもらって実験をしています。

こんな風にして仮説を検証するのか!とあなたも心理学の奥深さに驚くと思います。

応用認知心理学

脳の基本的な機能(記憶、視覚など)について基礎的な研究をする認知心理学を、より応用的な題材で研究しているのが応用認知心理学です。

みなさん、よくテレビのニュースの裁判の報道などで、「目撃証言」という言葉を耳にしたことはありませんか

犯人像の犯人の乗っていた車、犯人の行動などを、実際に見ていた人から聞き出すことです。

しかし、認知心理学の研究では、人間は強いストレスを感じていると体験時間が長く感じたり、たとえ自分が経験したことのないことでも、「やっただろ」と周りに言われるとやったかのような偽りの記憶を作り出してしまう…などの傾向がわかっています。

そのため、この目撃証言のあり方は本当に正しいのか、もう一度議論をする必要があるのです。

ちょっと暗い話?になってしまいましたが、応用認知心理学は脳の仕組みや癖と厳密に関係していることから、デザインにも役立てられています。

文字の大きさや薄さについての研究など、興味深い論文がたくさんありますよっ!

オススメの本はこちら。

インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針

インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針

「インターフェースデザインのための心理学」です。

この本の著者は論文を読み漁るのが大好き!という変態的な(褒めてます)趣味をお持ちで、ありがたいことに膨大な数の論文の内容をトピックごとにわかりやすく解説してくれています。

「研究の流れ」をしっかり理解していれば、より楽しく読めると思います。

応用認知心理学以外にも、先ほどご紹介した学習心理学の分野などについても書かれているので、ぜひ読んでみてください。

あなたもレッツ心理学!

以上、オススメの本の紹介でした。

改めて、私が伝えたいことは、世の中にあるいろいろな「心理学」に疑いを持てということと、研究の過程を知れば心理学はもっと面白く、身近な学問になるということです。

より多くの方が心理学という学問の真の姿に興味を持ってくださり、得た知見を自分の活動やデザインに役立ててくれることを願っています。